9:20 受付開始
9:50- 10:00 支部長によるプログラム紹介 喜連川 優(東大 生研)
1. 10:00 - 12:00
「ICDE国際会議報告―Part One―」
宮崎 純 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
内容梗概:
ICDE 2001においてリサーチセッションで発表された最新の
XML,OLAP,ワークフロー,DBエンジンなどの研究成果を
中心に,本国際会議の紹介を行う.
<昼休み 60分>
2. 13:00- 14:00
「ICDE国際会議報告―Part Two―」
宮崎 純 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
内容梗概:
ICDE 2001にて最優秀論文賞を受賞した3つの研究の紹介を行う.
(1) 意味階層を用いたHTML文書の変更の自動検出
インターネット上のHTMLで書かれた文書(ウェブページ)は,時々刻々と変更
される.例えばHTMLで書かれた株式相場の表が変更された場合,どの銘柄が
どれだけ値段の動きがあったのかを知りたい場合がある.HTMLのタグに基づ
くシンタックス階層からの差分では,変更のあった行情報(例えば銘柄と値
の羅列)を得られても,変更された値がどの列(例えば高値or安値)に対応す
るのかがすぐには分からない.本手法では,前処理せずにHTML文書から直接
対応する意味階層を生成することにより,例えば,IBM.高値 = 20 -->
IBM.高値 = 21 の様に具体的な情報を得ることができる.この意味階層を用
いることにより,任意の2つのHTMLの意味的な比較が自動化され,冗長情報
のフィルタリングが可能となり,例えば検索エンジンの検索結果の類似した
ウェブページの排除などに応用できるであろう.
(2) Skyline演算: 最適解の検索のためのSQLの拡張
ビーチリゾートホテルは,ビーチに近くて価格の安いものを選びたいもので
ある.ビーチからの距離と価格の2次元のデータの分布に対して,Skyline演
算を行うことにより,距離と価格が最も好都合なホテルのリストを選び出す
ことができる.このようにSkyline演算をSQLに導入することにより,多次元
のデータ分布から最小または最大の値を構成する点の集合を検索することが
可能となる.この演算は,意思決定システムや,データの視覚化に応用可能
である.
(3) 高性能省空間オブジェクトロッキング
トランザクションは複数のデータ間の一貫性を保ち,システム障害にも対応
することができる.このため,近年のe-commerce(EC)には不可欠な要素となっ
ている.トランザクション処理の内部では,保護すべきデータオブジェクト
をロックする操作が必要である,従来,ロックは非常に大きなオーバヘッド
をともない,トランザクション処理が遅い一大原因であった.提案する手法
を用いることにより,RISCプロセッサでわずかな命令数でロックでき,かつ,
ロックを管理するデータスペースを大幅に減らすことができる.この改善
により,ECの処理の高速化だけでなく,永続プログラミング言語,データベー
スなどトランザクションを用いる処理全体の高速化に貢献する.
3. 14:00- 15:00
「易しい特許の書き方」
君島 徳浩((株)日立製作所)
内容梗概: 知的財産権の1つである「特許」について、その制度の概要と取得の手続き、及び明
細書の書き方について簡単に解説するとともに、近年話題となっているビジネ
ス特許について事例を交え紹介する。
(1) 特許制度の解説(手続き、明細書の内容等)
(2) 特許の事例紹介(情報処理分野を中心にどのようなものが特許になっているか)
(3) 最近の特許に関する話題(ビジネスモデル特許について)
<10分 休憩>
4. 15:10 - 16:10
「大学研究室紹介:先進的時空間データベースシステム構築へのチャレンジ」
増永 良文(お茶の水女子大学理学部情報科学科)
内容梗概: 今回の発表では,二つのプロトタイプシステムを紹介する.一つは,仮想世界デ
ータベースシステムのプロトタイプで,ユーザは仮想世界に没入して,音声やジ
ェスチャを使ってマルチモーダルにデータベースに問合せや更新要求を発行でき
る.サイバースペースでの仮想ショッピングモールの構築や仮想協調作業空間構
築への応用が期待できる.もう一つは,ムービングオブジェクトデータベースシ
ステムのプロトタイプで,移動体同士の問合せの実現や,問題点を探る.閉会に
続いて,プロトタイプのデモンストレーションを行う.
5. 16:10 - 17:10
「パーベイシブ・コンピューティングのためのトランスコーディング技術」
長尾 確 (日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所)
近年インターネットへのアクセスはパソコンだけでなく携帯電話,PDA,
カーナビ,最近ではウェアラブルコンピュータ(例えば,IBMの開発した
LinuxWatch)などの様々な機器から行われるようになっている.このような
インターネットへのアクセス手段の多様化に伴って重要となるのがトランス
コーディングである.トランスコーディングとは基になるコンテンツを,
ユーザの好みや使用するデバイスに合わせて変換することを指す.
パソコンで表示することを前提にして作成したWebページを携帯電話機などで
表示するために,画像の縮小やテキスト部分の要約といった操作を自動的に
行う.このような技術を使えば,パソコンと比べて画面の表示機能や
データ伝送速度などの点で制約をもつ多様な機器に対して,パソコン向けに
作成された1つのコンテンツ・ソースから情報やサービスを提供できるようにな
り,それそれの機器に対応したコンテンツを別個に用意しなくても済む.身近な
例では,現在,多くのコンテンツ・プロバイダはパソコン向けのコンテンツと
i-mode向けのコンテンツを作り分けているが,トランスコーディングを行えばそ
のような必要はない.また、MPEGビデオなどのマルチメディア・コンテンツの
変換も可能である。なお,パーベイシブ・コンピューティング
(pervasive computing)とは、至るところに浸透する計算機環境(ユビキタス
コンピューティングと同義)を意味するIBM用語である.
17:10 - 17:15 閉会 <支部長のむすび>
6.17:15 - 18:00
「お茶の水女子大学増永研究室ツアー」
18:00 お開き |