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第26回先端的データベースとWeb技術動向講演会(ACM SIGMOD 日本支部第63回支部大会)

SIGMOD/PODS2016国際会議報告及び証券取引における情報技術とブロックチェーンの最新動向

日時:2016年10月 29 日 (土)
開催場所筑波大学 東京キャンパス文京校舎 134講義室 (東京都文京区大塚3-29-1)
主催:ACM SIGMOD 日本支部(支部長:中野 美由紀 (産業技術大学院大学)),日本データベース学会(会長:清木 康(慶応義塾大学))
支部長:中野 美由紀

プログラム

9:30  受付開始
10:00-10:05  開会挨拶

10:05-11:35 「SIGMOD/PODS2016 国際会議報告 (1)」
 塩川浩昭(筑波大学 計算科学研究センター 助教)

本講演では2016年6月26日から7月1日にかけて米国サンフランシスコで開催された
SIGMOD2016について報告する.本年のSIGMODはITの本場であるサンフランシスコ
開催ということもあり,参加者数が過去最高を記録など,大いに盛り上がりをみ
せた会議となった.講演の前半では,会議の採択率や採択論文の傾向などの各種
統計を報告するとともに,Jeff Dean(Google)によるキーノート講演,E. F. 
Codd Innovation Awardを受賞したGerhard Weikum (Max Plank Institute)による
記念講演の内容を交えながら会議全体の雰囲気を紹介する.

11:35-13:00  昼休み

13:00-14:20 「SIGMOD/PODS2016 国際会議報告 (2)」
 塩川浩昭(筑波大学 計算科学研究センター 助教)

講演の後半では,Best paper award受賞論文を中心に,最新の研究動向について
紹介する.Best paper awardには,ユタ大のFeifei LiらによるOnline aggregation
アルゴリズムの効率化に関する論文が選ばれた.また,Test-of-time awardには,
エディンバラ大のPeter Bunemanらによるdata provenanceの提案に関する論文が
選ばれた.また,講演者が参加したセッションを中心にいくつか論文を取り上げ
て紹介する.

14:20-14:45 休憩

14:45-15:45 「証券取引所の高速化にともなう情報技術の導入」
 水田孝信 (スパークス・アセット・マネジメント株式会社)

近年、証券取引所の高速化が進み、注文ごとのレイテンシーは数ミリ秒以下とな
った。そのため、非常に短い時間に注文とキャンセルを繰り返す「高頻度取引」
(HFT=High Frequency Trading)が多く存在することとなった。また、大量に注
文を出す機関投資家においても、どの銘柄をどれくらい売買するかは従来手法で
あったとしても、他の投資家に手の内を明かさないために、機械が自動的に小口
に分けて注文を出す「アルゴリズム取引」を使用することが普通となった。高頻
度取引とアルゴリズム取引は多くの場面で機械同士の戦いを繰り広げていると考
えらており、高度な情報技術が導入されつつある。また、同じ商品が離れた場所
や国境を越えて取引されるようになり、その価格差を利益とする「裁定取引」は
高速化競争がなされており、通信速度をも争うことまで発生している。本講演で
は、証券取引においてこのような高速化が進んだ背景と、どのような情報技術が
ソフト面、ハード面で導入されつつあるのかを紹介する。

15:45-16:00  休憩

16:00-17:00 「ビットコインのブロックチェーン:野望の実現方法」
 佐古和恵(NEC セキュリティ研究所)

ビットコインが実現したかった目的と、それゆえ既存の研究と異なる画期的な
「前提」をもつ、ビットコインにおけるブロックチェーンの動作原理を紹介する。
具体的にはビットコインでは複数のノードがビザンチン耐性を持ちながら、実質
的に同じデータ列を台帳に記載しているという特徴を持っている。デジタル署名
やハッシュチェーンといった暗号技術を用いて改ざん耐性を保証しつつ、「早い
者勝ち」のproof of workでデータの順番が決められ、さらに暗号通貨の報酬と
いうインセンティブで不正を抑止している。次世代の公平な電子取引基盤として
注目を集めている、ブロックチェーン技術を応用したスマートコントラクトにつ
いても概説する。

17:00  閉会